障害者職業総合センター
 
 
−発達障害者の職場定着支援の課題を探る−

調査研究報告書No.101

発達障害者の企業における就労・定着支援の現状と課題に関する調査研究

執筆者(執筆順)

望月 葉子 障害者職業総合センター 主任研究員 概要、序章、
第1部第1章第1節・第2節1・第4節、
第2部第1章第1節・2節・4節、
第2章第1節・3節、総括
知名 青子 障害者職業総合センター 研究員 第1部第1章第2節2・第2章
向後 礼子 近畿大学教職教育部 講師 第1部第1章第3節、
第2部第1章第3節、第2章第2節

キーワード

 発達障害 職場定着支援 コミュニケーションとビジネスマナー

活用のポイント

 本研究では、発達障害者の企業における職場適応上の課題と、対処方法を明らかにすることを目的とし、特例子会社と企業を対象に調査を実施した。特例子会社における支援体制、一般企業における発達障害者の適応要件、コミュニケーションやビジネスマナーについての期待水準や達成時期等が明らかとなった。これらの知見は、就業前支援のための、また、企業で当事者の障害特性に即した配慮を行う際の内容や範囲等の理解啓発のための基礎資料として、活用が期待される。

研究の目的と方法

 本研究の目的は、発達障害者に対する就労の実現と定着のための支援に必要となる指導課題を明らかにすることである。このため、法定雇用率制度を利用する者並びに、障害者雇用支援を利用せず一般扱いの雇用を選択する発達障害者の職場適応上の課題等を検討することとし、特例子会社および企業に対してアンケート調査や専門家ヒアリングを実施した。

研究の結果得られた知見

 発達障害者の職場定着支援の現状と課題として以下の知見が得られた。

 特例子会社の39社(37%)が従業員の発達障害を把握していた。これら発達障害のある従業員に対しては、特性の把握により、知的障害や精神障害者への雇用経験を通して蓄積されたノウハウに基づいた個別・具体的な適応支援が行われていた。
 特例子会社の親会社(一般企業)で働く発達障害者の適応・定着支援においては、担当業務等において本人の特性が考慮されていること、支援が専任の従業員によって行われること、支援機関や特例子会社等から支援と助言を得ること等が必要な条件となっていた。こうしたことからは、障害者手帳を取得していない者については、必ずしも障害者雇用における雇用管理や配慮の経験が活用されるとは限らず、障害開示をしない場合は、周囲の理解や配慮のための調整は成立しがたい可能性があるといえる。
 企業は、若者の新規採用に際して、コミュニケーションやビジネスマナーを重視していたが、重視する水準や達成される時期は項目によって異なっていた。職業準備の視点から比較的優先性が高い項目にてらして、発達障害者の現在の行動特徴に支援が必要となった場合、雇用後の一般研修等で達成を見込めるのか、代償手段を獲得するのか、開示して理解と配慮を求めるのかといった点の検討が必要となる。
 発達障害者の就労支援においては、ルールの行動化が重要なテーマである。企業と特例子会社ではルールに関する期待(理解と対応)に違いがあった。特例子会社では、了解される行動の範囲が広く、特例に対応する体制と的確な支援とが関連していた。したがって、障害を非開示とした場合、企業の期待する行動にどの程度応えられるか、障害を開示した場合はどのような対応が可能であるかが、職場適応を左右する要因となることが予想された。

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サマリーはこちらから(PDF657KB)
調査研究報告書はこちらから(PDF 13,002KB)


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