障害者職業総合センター
 
 
−疾患管理と職業生活の両立を支えるために−

調査研究報告書No.103

難病のある人の雇用管理の課題と雇用支援のあり方に関する研究

別冊資料 職業場面における難病データ集

執筆者(執筆順)

春名 由一郎 障害者職業総合センター 研究員 報告書、別冊
東明 貴久子 障害者職業総合センター 研究協力員 別冊(編集協力)
香西 世都子 障害者職業総合センター 研究協力員 別冊(編集協力)

キーワード

 安全配慮 合理的配慮 医療と労働の連携 ICF国際生活機能分類 慢性疾患

活用のポイント

 過去40年の難病対策等の成果により、難病のある人の多くは、通院への配慮やデスクワーク等の無理のない仕事への配置があれば就労可能になっている。本研究では、そのような現状や課題、職場の雇用管理、地域の医療・労働等の雇用支援のあり方を実証的データに基づいて示している。また、疾患管理や安全配慮と就労支援を両立させる、適切な雇用管理や雇用支援を行うための、多様な疾患別のデータを別冊として提供している。

研究の目的と方法

1 目的
本研究は、難病のある人の職業的課題について、身体・知的・精神等の障害のある人の職業的課題の状況との比較を含め、実証的なデータに基づいて、効果的な職場での雇用管理や地域等での雇用支援のあり方を明らかにするとともに、就職前から就職後の様々な局面における難病による職業的困難性の特徴を明らかにすることを目的とした

2 対象
本研究の分析対象は、2005年に実施された難病患者に特化した調査、及び、2009年に実施された身体・知的・精神等の多様な障害(難病を含む)のある人の調査によって得られたデータである。両調査は、患者会を含む当事者団体の協力により、難病や障害のある人本人の回答による郵送調査であり、調査項目の多くが共通しているため適切な範囲でデータをプールして分析した。これにより難病については最大5,915名、25疾患、障害者手帳の有無別に8疾患の分析を可能とするとともに、最大36種類の多様な身体・知的・精神障害等との比較も可能とした。

3 調査項目及び分析
様々な職業的課題(活動と参加)における問題の有無と、職場や地域の様々な取組(環境因子)の有無のクロス集計により、「特定の取組のある場合に特定の問題が少なく、その取組がない場合にその問題が多くなっている」ことが統計的に有意に認められることで、効果的な取組を特定するとともに、効果的な取組の有無による職業的課題の状況の変動も明らかにした。また、地域の支援機関の利用者に多くみられる職業上の問題も同様に明らかにした。さらに、難病のある人の職業的課題の状況を、多様な身体・知的・精神障害等のそれぞれの、効果的な取組の有無による職業的課題の状況の変動のデータと比較可能とした。

研究の結果得られた知見

 難病のある人の多くが、デスクワーク等の無理のない仕事で働いていた。その一方で、障害認定の有無にかかわらず、通院への配慮、デスクワーク等の無理のない仕事への配置、休憩の取りやすさ、体調に合わせた柔軟な勤務体制等が得られない状況で働き、疾患管理と職業生活の両立が困難となっている事例も多くみられた。職場において本人が病気や必要な配慮について説明しにくい状況もあり、効果的な雇用管理としては、通院への配慮等はもちろん、仕事の進め方についての職場での良好なコミュニケーション、病気の正しい理解、病気や障害があってもキャリアアップできる人事方針等が重要となっていた。また、地域の雇用支援においては、主治医等の保健医療側の就労相談とハローワーク等の雇用支援が重要であるが、就職はできても就職後に問題が多発していたことから、就職前から就職後までのより効果的な連携が重要である。

ダウンロード

サマリーはこちらから(PDF1,724KB)
調査研究報告書はこちらから(PDF9,553KB)
別冊はこちらから(PDF7,763KB)



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