障害者職業総合センター
 
 
−体調変動等による就労困難への職業選択や配慮・支援−

調査研究報告書No.126

難病の症状の程度に応じた就労困難性の実態及び就労支援のあり方に関する研究

執筆者

春名 由一郎 障害者職業総合センター 主任研究員 第1章〜第4章

キーワード

 難病対策 合理的配慮 治療と仕事の両立支援 職業上の障害 医療と労働の連携

活用のポイント

 本研究により、難病の症状の程度は、ある程度病気に応じて固定的な面もあるが、「全身的疲れやすさ等の体調変動」を主とする症状が、病気の種類に横断的に難病に特徴的な就労困難性の原因となっていること、また、これに対して、疲労回復や体調管理に適切な勤務時間や休日等のある無理なく能力を発揮できる仕事の選択、及び、治療と仕事の両立のための職場での配慮等の促進等が、効果的な就労支援であることが明らかとなった。

研究の目的と方法

目的
 本研究では、今後拡大する難病対策の対象疾患について可能な限り広い範囲で、難病患者への郵送質問紙調査を行い、それぞれの難病に特有の多様な症状と程度、機能障害と、それに伴う就労困難性の実態を把握し、必要な職場や地域の就労支援のあり方を明らかにすることを目的とした。

方法
 本研究では、平成27年1月1日施行段階における難病法の対象110疾患について、関係する患者団体から調査への協力を得られたものを調査対象とした。発送数5,789に対して、血液系、自己免疫系、内分泌系、神経・筋、視覚系、循環器系、消化器系、皮膚・結合組織、骨・関節、腎・泌尿器の幅広い疾患群の患者からの2,439の回答が得られた(回収率42.1%)。生産年齢にある回答者中、現在就業中は54.2%(休業中3.0%を含む)であった。最近10年間に難病をもっての就業経験があるのは全体の71%(炎症性腸疾患や自己免疫系疾患で多い)、難病による離職経験者は全体の32%(パーキンソン病等の神経・筋疾患で多い)、難病をもっての就職活動経験者は全体の55%(神経線維腫症、クローン病等で多い)で、就職・再就職に成功した経験があるのは全体の45%(就職活動経験者のうち82%)であった。

研究の結果得られた知見

 本調査結果により、難病の症状の程度は、ある程度病気に応じて固定的である面もあるが、難病に特徴的なものとして「全身的疲れやすさ等の体調変動」を主とする症状が、病気の種類に横断的に見られることがわかった。
 また、これにより、調子のよい時は普通に働ける者も多いこと、しかしながら、体調が変動するため、体調が悪い際に休養がとりやすいことや仕事内容が調整しやすいこと等が重要であることがわかった。
 加えて、こうした就職後の体調変動への対応には、就職する際に、企業に対して症状や必要な配慮を明確にすることが重要であり、これを行わない場合、正規雇用では葛藤が大きく、非正規雇用では離職につながりやすいこともわかった。
 こうしたことに対応するため、疲労回復や体調管理に適切な勤務時間や休日等のある無理なく能力を発揮できる仕事の選択、及び、治療と仕事の両立のための職場での配慮等の促進を中心として、難病患者が経験している多様な就労困難性を軽減・解消できる効果的な就労支援・配慮が多く確認できた。

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サマリーはこちらから(PDF 316KB)
調査研究報告書はこちらから(PDF8,969KB)



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