障害者職業総合センター
 
 
−障害者の在宅就業の実態と制度の活性化策が分かる−

調査研究報告書No.131

障害者在宅就業支援の現状と課題に関する研究

執筆者(執筆順)

小池 眞一郎 障害者職業総合センター 主任研究員 全般(第4章を除く)
田村 みつよ 障害者職業総合センター 研究員 第4章

キーワード

 在宅就業 在宅雇用 テレワーク 特例調整金 特例報奨金 在宅就業支援団体

活用のポイント

 近年のIT技術の飛躍的発達と高速通信網の整備に伴い、テレワークが注目されているが、個人情報等の漏洩事案や海外オフショアへの発注等の影響もあり、障害者の在宅就業支援団体の運営には様々な課題が見られる。本研究では、調査・訪問等を実施し、在宅就業に係る最新の状況や課題、これまでの経緯、今後の活性化策等を取りまとめており、支援団体の利用希望者、支援者、企業の担当者にとって有益な情報を提供している。

研究の目的と方法

目的
 在宅就業に係る現状を把握するとともに、把握した現状から制度の活用が進まない要因を分析し、今後、支援制度の活用を図っていく上でどのような支援策を講ずるべきかについて検討する。

方法
 在宅就業支援団体の実態を把握するアンケート調査や専門家からの在宅就業の現状と課題に関するヒアリングを行った。また、情報サービス業の企業に対する在宅就業支援団体の活用に関するアンケート調査等も行った。

研究の結果得られた知見

  1. 1.在宅就業支援団体の現状と課題
     全国に在宅就業支援団体は約50カ所あり、データ入力、Webデザイン・HP制作、サイトの維持管理等を行うIT活用系団体(回答団体の85.7%)と食品、自動車部品等の製造・加工等を行う製造加工系団体に二分される。製造加工系団体は、特例調整金を受給する企業からの発注を受けるなど、比較的安定した運営ができているが、IT活用系団体では、企業や地方公共団体等からの小口の発注が多く、「バランスの良い収支のもとで、安定した業務が展開されている」とする団体は全くなかった。
     在宅就業支援団体に登録する障害者は全体で2,000人以上。IT活用系団体では、身体障害者(52.8%)が最も多く、次いで精神障害者(15.5%)が多い。実務経験は5年以上ある者(36.7%)が多いが、障害の重さや症状の安定性の課題もあり、在宅作業は週10時間未満の者(56.4%)が多い状況にある。91.3%のIT活用系団体は、「十分な受注量が確保しにくい」と回答し全体の1/4の団体が障害者のスキルアップと営業活動を課題とした。
  2. 2.情報サービス業の企業から見た活性化の方策
     外注実績がある企業の割合が最も高い情報サービス業の企業では、27.9%が外注可能な仕事があり、その仕事内容はWebコンテンツ制作、単体のシステム開発、イラスト制作、印刷・PDF化、記事作りなどが挙げられた。
     特例調整金等の制度を「詳しく知らない」又は「見聞きしたことがない」企業は全体の2/3を超えているが、一方で、在宅就業者への委託に関しては、「納期が守られ、仕上がりに問題がなければ支障がない」が25.8%あり、「小規模の委託から始めて実績を評価しながら進めたい」が12.9%あった。専門性やタイムリーな受注力は求められるものの、支援団体が責任を持って良質な委託作業を行えば、受注を取れるだけの市場が存在する。
  3. 3.まとめ(制度や支援団体の活性化に向けて)
     障害者の在宅就業支援で進めるべき施策の方向性は「在宅就業支援団体の活性化」、「企業からの発注促進」及び「在宅就業障害者の企業就職の促進」の3つに大別できる。主として支援団体の営業力の強化と在宅就業障害者の技術面の向上を中心に展開を図るべきであるが、登録障害者の就労スタイルやキャリア設計を明確にしていくとともに、特例調整金等の制度の積極的な広報・周知も併せて行っていくことも必要である。

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サマリーはこちらから(PDF1,595KB)
調査研究報告書はこちらから(PDF13,258KB)



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