障害者職業総合センター
 
 
−発達障害者支援の現状と課題−

リーディングス職業リハビリテーション1

発達障害のある人がよりよい就労を続けるために
−障害者職業総合センターにおける発達障害研究の歩み−

執筆者(執筆順)

望月 葉子 障害者職業総合センター 主任研究員  

キーワード

 社会的基盤整備 職業への移行 職業準備

活用のポイント

 当センターの研究部門が平成23年までに実施した一連の発達障害関連研究を総括したものであり、発達障害者に対する支援体制の課題や就業前支援のための課題、企業で当事者の障害特性に即した配慮を行う際の内容や範囲等の理解啓発のための基礎資料として、活用が期待される。

研究の目的と方法

 本研究では、これまでの発達障害者就労支援研究を総覧して研究の現到達点を明らかにするとともに、発達障害者の職業リハビリテーションにおける課題を考察し、今後の発達障害者就労支援の取組むべき方向性を明らかにすることを目的としている。

研究の結果得られた知見

 一連の研究を通して、「雇用の場に入り、継続することを通して職場で自立していく」障害者を支援するために、何が問題であるかを考察した。特に事例研究では、発達障害者が雇用に入ること、そして、適応・定着をはかり雇用を継続していくうえで、「障害者雇用」または「職業リハビリテーション」を選択すること、の重要さを明らかにした。

 ①  成人期の支援の考え方をわかりにくくしている背景には、発達障害に固有の問題がある。それは、発達とともに状態像が変化していくという点であり、これが予後の事態を好転させる可能性に対する期待や診断時期の遅れに結びついている。
 ②  就業支援を効果的に行うために、まずは、職業選択時点における職業適性・職業興味等を客観的に基準に照らして評価することが必要である。さらには、職業リハビリテーションの支援の利用可能性についても的確に評価することも重要となる。障害者雇用に際し、企業の配慮を必要とする場合、支援者は、当事者側の問題の把握と企業における環境整備の課題を明らかにすることになる。
 ③  職業準備の課題達成支援は、作業の習得と対人行動スキルの習得から構成されるものであり、模擬的な職場や現実の職場を活用した段階的な支援を必要とすることが多い。就業前支援、就業支援、適応支援といった一連の経過の中で段階的支援を構想する場合には、支援機関と企業との連携が必要となる。
 ④  職業自立を支援するうえでは、企業就労が求める要件を支援目標においた職業準備の過程が必要となる。このため、発達障害者への就業支援は、「学校」を仲介する仕組みの構築こそが要となる。加えて、卒業後の若年雇用支援機関や医療機関と障害者就労支援機関との連携の必要性についても検討課題である。
 ⑤  学校卒業後いわゆる「職リハサービスを選択していない」発達障害のある若者のために、職業リハビリテーションを選択肢として提案する役割を担う仕組みが必要である。
 ⑥  発達障害のある者が一般企業で適応・定着するための要件は、企業において「できる仕事」に配置され、担当業務や作業工程が本人の特性を考慮されていること、個別・具体的な支援が行われること、支援機関や特例子会社等から支援と助言を得ること、の3点に集約される。
 ただし、障害者手帳を取得していない者については、当事者が障害に気づいていない場合だけでなく、気づいてはいても障害を受け入れていない等で障害開示をしない場合には、周囲の理解や配慮のための調整は成立し難い可能性が高い。

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表紙・まえがき・目次・はじめに・序(PDF 6,242KB)
第1章(PDF11,735KB)
第2章(PDF 13,518KB)
第3章(PDF 12,892KB)
総括(PDF 975KB)
資料・奥付(PDF 617KB)


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