障害者職業総合センター
 
 
−営利と非営利がともに障害者の働く場を作る−

資料シリーズNO.68

企業と非営利組織等との協業による障害者雇用の可能性を検討するための研究

執筆者(執筆順)

内木場 雅子 障害者職業総合センター 研究員 第1章〜第3章
青林 唯 障害者職業総合センター 研究協力員 第1章

キーワード

 パートナーシップ コラボレーション つながり

活用のポイント

 民間企業、非営利組織(社会福祉法人、NPO法人等)、地方自治体の間のパートナーシップによる障害者雇用に取り組んでいる事例について分析した。 単独で障害者雇用を行っている民間企業および就労支援を行っている非営利組織の方にご覧になっていただきたい。 単独ではなくパートナーシップによる取り組みの過程は新たな可能性の模索や試みを始めるうえで有益な情報になると考える。

研究の目的と方法

 本研究では民間企業と非営利組織(社会福祉法人、NPO法人)とのパートナーシップに着目し、これに基づいた障害者雇用の形態を調べることを目的とした。 具体的には、民間企業と非営利組織がパートナーシップによって障害者の就労支援を進めている事例を5つ抽出した。 そしてそれぞれの事例の担当者を対象としてその参画者、取り組み内容、成果などを聞き取り調査によって調べた。

研究の結果得られた知見

 事例1は、公有施設を使い企業が障害者を採用し地域の就労支援機関の協力を得ることで、従業員(障害者)へのフォローアップや職場適応支援を受けている事例である。ここでは、企業が既存施設を確保したことによって比較的早期に働く場ができたことや、企業は地域の就労支援機関から全面的な支援を得られ、スムーズな雇用管理につながった取り組みといえる。
 事例2は、企業が社会福祉法人の近隣に出向き働く場を創っている。これは企業が社会福祉法人の近隣に休耕地を借り農産物の生産を開始し社会福祉法人の利用者(障害者)を雇用することによって、社会福祉法人から従業員(障害者)に対する職場適応支援やフォローアップの支援を受けることを容易にした取り組みといえる。
 事例3は、事業者が企業の目的(営利追求)と社会福祉法人の目的(障害者の職業自立)を調整するために、事業者が企業との間でマネジメント契約を、企業が社会福祉法人との間で業務委託(請負)契約を締結している事例である。ここでは、自立支援法の給付を参考にした仕組み作りや、ユニット(グループ)に分かれ作業に取り組んでいることを特長としており、その成果として利用者(障害者)が企業への採用につながった取り組みである。
 事例4は、地域の農業と農家の活性化を図るために、障害者の就農と企業の障害者雇用を支援している事例である。ここでは、農業政策を所管する行政が中心となり農業を活用した障害者の就労を支援し、また、NPO法人が県から事業を受託することで、専門的な知識を持つ支援する人材を育成したり、農業と農家が活性する考え方を提案している取り組みである。
 事例5は、NPO法人が地域に暮らし働く場を作っていこうとしている事例である。ここでは、NPO法人が自立支援法の施行に前後し勉強会や助成事業等を活用し地域の住民や事業者とのつながりを作りながら生活、食、住まい・観光のバリアフリー等に取り組むことで、新しい地域づくりに挑戦しているものである。
 いずれの事例にしても、非営利組織、民間企業、あるいは自治体がそれぞれの不得手な部分を補うことや、パートナーシップでの調整を行っていることで、働く場の確保・障害者作業指導ノウハウといった個々の問題を解決しているといえるだろう。

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資料シリーズはこちらから(PDF 1,510KB)


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