障害者職業総合センター
 
 
−ジョブコーチの活動状況や制度の課題がわかる−

資料シリーズNO.74

ジョブコーチ支援制度の現状と課題に関する調査研究

執筆者(執筆順)

小池 眞一郎 障害者職業総合センター 主任研究員 第1章〜第4章

キーワード

 ジョブコーチ 職場適応援助者助成金 職場適応援助者養成研修

活用のポイント

 ジョブコーチ支援制度の現状と課題を明らかにしており、①行政機関の担当者については、その施策立案、制度改正に資する基礎資料、②ジョブコーチ等の職業リハ業務担当者については、その支援の質の向上に資する資料、③福祉、医療等のリハ業務担当者については、ジョブコーチ支援制度の活用に資する資料、として活用が期待される。

研究の目的と方法

 ジョブコーチ支援制度は、現在の形になって5年余りが経過しており、全国的な広がりを見せているが、活動の質、キャリアの蓄積、ジョブコーチの役割分担等には課題も見えてきており、今後のきめ細かな支援が必要な者の就労支援を考えた場合、さらにジョブコーチの質の向上を図ることが必要である。
 このため、本研究では、ジョブコーチの業務内容や処遇、知識・スキルに関する現状と課題を把握するためのアンケート調査を実施するとともに、ジョブコーチの業務やその養成研修の状況、地方自治体が行うジョブコーチ支援類似制度について現状を把握することで、今後のジョブコーチ支援制度等のあり方について検討する。

研究の結果得られた知見

 地域障害者職業センターにおけるジョブコーチ支援では、支援開始者数が増加してきており、第1号ジョブコーチとの協同支援の中で、第1号ジョブコーチだけで実施する支援の日数を増やすなどにより、支援の実施ニーズに対応している現状が見られる。地域障害者職業センターの配置型ジョブコーチは、ジョブコーチ支援を担当するカウンセラーによる全体及び個々の支援の総括を受けながら、その技術の向上が図られてきており、その成果は就職の困難性の高い対象者へのジョブコーチ支援の実施や、地域全体の支援の質の維持に活かされていた。
 社会福祉法人等に雇用される第1号ジョブコーチには、兼務、助成金の運用及びジョブコーチの3極化という3つの課題が見られた。
 兼務に関する課題は、全体の9割以上が兼務のジョブコーチであることによる課題であり、支援の技術が向上しない、個々の職務の習熟が進まないという大きな課題に発展していた。兼務状態の解消には、業務が安定的に供給されることや支援業務に対する処遇が改善されることが必要となると考えられる。
 助成金の運用に関する課題では、制度の適用範囲の拡大、助成金の認定・支給要件の緩和、支給単価等の引上げの要望があり、特に、助成金の支給単価の引上げに関しての意見は多かった。助成金の支給額については、「第1号ジョブコーチはどのような人材で、どの程度の年齢なのか」という人材のイメージを明確にしつつ、今後具体的な改善策を検討していく必要がある。
 ジョブコーチの人物像が3極化している課題では、勤務実態から見て専従型、兼務型、名誉職型の3極に分かれてきており、そのこと自体が課題であると同時に、ジョブコーチの質を高めるための共通基盤を構築することや共通意識を浸透させていくことに困難さがあることが今後の課題となると考えられる。
 第2号職場適応援助者(ジョブコーチ)助成金の支給を受けた事業所は、その他のサービス業が最も多く、特例子会社に該当する法人が全体の半数以上を占めていた。知的障害者への支援が最も多く、管理職や雇用障害者への支援を行っている者が、必要な時期にジョブコーチ支援を行うことが多い。支援計画書等の作成は負担になっているものの、他の障害者雇用納付金に基づく助成金の認定や申請とほぼ同じスキームであることから、最も制度上の課題とされる助成金の手続き等は恒常的な制度利用により、その負担感は軽減していくものと考えられる。

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