障害者職業総合センター
 
 
−配慮を推進する事業主への支援事例報告と支援ニーズの分析−

資料シリーズNO.76

精神障害者・発達障害者の雇用における課題と配慮の推進に関する調査研究

執筆者(執筆順)

石川 球子 障害者職業総合センター 特別研究員

キーワード

 精神障害者 発達障害者 併存する障害を有する従業員 職場における配慮実践事例 ネットワーク

活用のポイント

 精神障害者や発達障害者などの就職件数やメンタルヘルス不調で休職・離職する者が増加する中で、事業主にはこうした障害を有する従業員に対するきめ細かい、障害特性に応じた配慮の推進が求められている。
 本書は、精神障害、発達障害、そしてこれらの障害を併せ持つ従業員に対する配慮推進実践事例の紹介とこれらの配慮がもたらした効果、配慮推進に関する事業主支援ニーズについてまとめている。

研究の目的と方法

目的
 精神障害者、発達障害者に対する事業主による配慮の実践事例及び配慮を推進するにあたっての課題、就労支援機関における事業主支援の実状と課題等を収集・整理し、支援機関に対して提供し、支援機関関係者による配慮推進に関する事業主支援に資することを目的とした。

方法
 先行研究に関する文献調査、配慮に関する有識者からの情報収集、さらに就労移行支援事業所及び特別支援学校に対する配慮実践事例の収集と配慮推進上の課題分析のための「配慮推進事例と課題に関する調査」を実施した。また、地域障害者職業センターの配慮事例についても収集した。

研究の結果得られた知見

 調査等によって得られた配慮実践事例(本書では採用に当たっての課題を克服した事例など就職・復職・定着に関するおよそ50事例を紹介している)にみられた様々な配慮を分析することにより、以下の知見が得られた。
 本研究では統合失調症を有する従業員の事例が多くみられた。これらの中には、兆候がみられても配慮により勤務を継続している事例もみられた。また、うつ病事例についても気持ちの落ち込みや自己像が否定的になるなどの課題があったが、配慮により再発なく勤務している事例もみられた。この他、解離性障害、強迫性障害、パーソナリティ障害、そして精神障害と併存症事例も含めて再発予防や職場適応といった産業精神保健の三次予防の観点から貴重な配慮推進事例がみられた。
 また、発達障害を有する従業員の推進事例については、発達障害者が得意とする業務において環境面の配慮により、勤務の継続やキャリアアップを達成している事例が多くみられた。この中にはひきこもり期間が比較的長い方や併存する障害を持つ方の事例も含まれていた。
 また、機能制限がある場合に限らず、配慮によって、業務遂行に影響を及ぼす症状の悪化や再発を未然に防ぐことができた事例や障害を有する従業員への配慮を推進した結果、職場全体の生産性の向上や障害を有する従業員についての理解が深まり、新たな障害者雇用に結びついたといった効果もみられた。
 さらに、精神障害及び発達障害に関する事例の双方について、重複障害の場合の配慮やストレスの軽減等のためのSSTやアサーティブトレーニングなどのスキル獲得支援のための配慮とその効果もみられた。
 こうした配慮を推進するにあたり、地域における関係機関間のネットワークによる連携が重要な役割を果たしていることも多くの事例に示された。

ダウンロード

資料シリーズはこちらから(PDF 3,907KB)


NIVR