障害者職業総合センター
 
 
−関係機関から見たジョブコーチ支援制度に関するニーズや要望−

資料シリーズNO.80

ジョブコーチ支援の実施ニーズ及び関係機関から求められる役割に関する研究

執筆者(執筆順)

小池 眞一郎 障害者職業総合センター 主任研究員 第1章〜第9章

キーワード

 ジョブコーチ ジョブコーチ支援 支援ニーズ 有効性 満足度 職場適応援助者助成金

活用のポイント

 関係機関・施設へのジョブコーチ支援制度に関する調査を基に、制度の有効性や支援結果の満足度、ジョブコーチのスキル面での課題、今後の支援ニーズや対象者像の変化を把握するとともに、制度への意見要望を取りまとめている。@行政機関の担当者については、その施策立案、制度改正に資する基礎資料、Aジョブコーチ等の職リハ業務担当者については、その支援の質の向上に資する資料、B福祉、医療等のリハ業務担当者については、ジョブコーチ支援制度の活用に資する資料、として活用が期待される。

研究の目的と方法

 ジョブコーチ支援事業が障害者雇用助成金を基盤とした制度に改正されてから10年近くが経過し、全国的な広がりを見せているが、支援の質、キャリアの蓄積、ジョブコーチの役割分担等の課題も散見される。本調査研究は、「ジョブコーチ支援制度の現状と課題に関する調査研究」(資料シリーズNo.74)がジョブコーチ支援を実施している施設や企業からその現状と課題を把握しているのに対して、ジョブコーチ支援を依頼する側の関係機関・施設から見た支援制度の現状と課題を把握し、今後の支援ニーズの変化やジョブコーチのスキルの向上に資する情報を得ようと試みたものである。
 現行のジョブコーチ支援制度の有効性、支援内容、支援期間等に関する満足度、支援の依頼実績・実績予測、今後の支援対象者の動向、支援に関する今後の期待等を把握するため、全国3,880カ所の教育、福祉、就労関係機関・施設に対してアンケート調査を行い、その結果を分析することを中心としている。

研究の結果得られた知見

 直接、サービスを受ける障害者及び企業にとってジョブコーチ支援は役に立つとする関係機関・施設が全体の9割を越えるとともに、制度は公的な施策として必要であるとする関係機関・施設も全体の9割を越えており、その施策としての存在意義が改めて確認された。
 しかし、ジョブコーチ支援の結果に満足していると回答したのは全体の65%であった。満足していない理由を関係機関・施設からの意見の中や実践者ヒアリングの内容を中心に分析すると、@段取りの多さ、A支援の実施期間の短さや支援頻度の少なさ、Bジョブコーチにスキルの差があること、C関係機関・施設との連絡、情報共有が少ないこと、Dフォローアップ期間が短い、定着支援が弱いことの5点が中心となっていることが推察された。
 ジョブコーチの業務の中で、強化、改善が必要とされた割合が高いものは、「障害や個性の理解に関する事業所支援」、「新たな仕事の切り出しや職務の再設計」、「ナチュラルサポートの形成」等であり、求められるジョブコーチのスキルのレベルが比較的高い事業所のサービスが多かった。中でも、「ナチュラルサポートの形成」に関する事業所支援はジョブコーチの根幹的な職務の1つであることから、十分な教育、研修、指導が行える体制を整備していく必要があろう。
 また、関係機関・施設からのジョブコーチ支援制度への意見では、地域的に、また、圏域で見てジョブコーチの絶対数が少ない地域があることが指摘されていた。併せて、第1号ジョブコーチに係る助成金の支給対象にもなりうる就労移行支援事業所や、機関・施設の実践者から職場適応援助者助成金のジョブコーチの活動に係る日額単価の設定等が適切でないことも言われていた。
 研究を通じて関係機関・施設からのジョブコーチ支援制度の評価の高さと今後の障害の多様化、重度化に向けた支援の充実に大いなる期待を感じた。今回の調査研究の結果を一助として、障害者の就労支援として有効な制度であるジョブコーチ支援制度がさらに充実強化されていくことを期待したい。

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資料シリーズはこちらから(PDF 8,797KB)


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